交通法規厳罰化へ
産経記事
悪質事故に懲役7年 運転過失致死傷罪を新設
悪質な交通事故を抑制するため法務省は、刑法の業務上過失致死傷罪の法定刑上限(懲役・禁固5年以下)を交通事故に限って7年に引き上げる「自動車運転過失致死傷罪」を新設する方針を固めた。警察庁も飲酒運転やひき逃げなどの罰則を強化する道路交通法の改正試案を既にまとめており、政府は刑法改正案と併せて通常国会に提出、成立を目指す。小さな子供が犠牲になるなど交通事故の悲惨さを反映し、厳罰化が進みそうだ。
東京都世田谷区の東名高速道路で平成11年、飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突して女児2人が焼死した事故をきっかけに厳罰化を求める世論が高まり、13年には刑法に「危険運転致死傷罪」(懲役20年以下)が新設された。
しかし同罪は「アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難」「故意の信号無視」などを立証する必要があり、適用要件が厳しい。このため法務省で関係法令の見直しを進めてきた。
その結果、危険運転致死傷罪の適用には至らないまでも、脇見運転など運転手に重大な過失があったり、結果が重大な場合は、重く処罰するため、刑法の業務上過失致死傷罪の罰則を強化して適用することにした。
刑法の業務上過失致死傷罪は、交通事故のほか医療事故などで刑事責任を追及する場合にも適用されることから、交通事故に限定した「自動車運転過失致死傷罪」の規定を特別に設け、法定刑上限を5年から7年に引き上げる方針だ。
一方、福岡市では昨年8月に飲酒運転に絡んで幼児3人が犠牲となったほか、埼玉県では9月に保育園児の列にカセットプレーヤーを操作していた運転手のライトバンが突っ込んで女児4人が死亡するなど悪質・危険な事故が後を絶たない。
そのため、警察庁でも昨年12月に道交法の改正試案を公表。酒酔い運転の最高刑を3年から5年、酒気帯び運転を1年から3年、ひき逃げを5年から10年にそれぞれ引き上げる。飲酒運転の車への同乗も禁止するなど全面的な制裁強化を打ち出しており、交通事故の厳罰化が進むことになる。
(2007/01/26 02:29)
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiko/070126/jko070126000.htm
- 以前、飲酒運転報道がやたら目立つというようなエントリーをしましたが、これの伏線だったんですね。
- 当時、リアルで知り合いと「厳罰化するために、世論の同調という下地を作っておかないといけないので、意図的に記者発表してるんじゃないか?」という話をしていたのを思い出します。
- PCがハングして書けなかったエントリーにも、そのあたりのことを書くつもりでした(書いていました)。
- 当然、裏には、量刑バグを是正したい、という事情もあるでしょう。
- 9/12の量刑見直し発表がここで法制化される、ということですね。
- 危険運転致死傷罪を逃れても、「自動車運転過失致死傷罪」によって裁かれる、ということになるわけです。
- ゲームで言えば、パッチがあたった、という表現になりますね。
- でも、まだバグが残ってそうな気がしてならないんですが。
- しかしまぁ、巧妙というかなんと言うか。
- 飲酒運転騒動のほとぼりが冷めた今頃になって粛々と話が進んでいくわけです。でも、あの騒動が忘れられたタイミングではないので、異論を封殺できる。飲酒運転はイカン!という世論の名残は残っているんですよね、今のタイミングだと。
- 個人的には、お上がそういうメディア戦略を駆使するのはいいことだと思います。
- ヘンな人たちが要らぬ言いがかりをつけて、なすべきことができない、というのはよろしくないですし。
- でも、完全に裏でコソコソやられるのも好ましくありません。
- 最低限、今回の記事になるくらいの報道はなされていてほしいと思います。
- 地味に報道すれば、わかる人にはわかりますから。
- そういう意味でも、メディアの皆さんには、結果的には翼賛記事にしかならなくても、取材はしていっていただきたいと思います。
- お上が知らないうちに進めている良いことも有権者が知る必要があります。
- しかし、従来の「危険運転致死傷罪」の量刑バグの責任は追及されねばならないと思います。